皮むき間伐体験ツアー
よくイベントでご一緒している文筆家の田中優さん(原発に関する講演会で今や時の人に)が理事を務める、天然住宅バンクが主催する「栗駒エコラの森 皮むき間伐+αツアー」に、4/29〜5/1、二泊三日の日程で参加してきたときのレポートを。参加者は6〜70名くらい。
いわゆるエコツアーだが、泊まりがけで遠方へというのは僕は初めてだ。場所は宮城、岩手、秋田三県にまたがる栗駒山。被災地も近いためか、参加した方のなかには途中から支援のために現地へ向かう方や、そこから戻ってきて参加した方も多かった。
森を正しく管理するためには、木を元気よく育てるために木の間引き、つまり間伐をすることが大切である。皮むき間伐といういうのはただ単に若い木を切り倒すのではなく、まず木の皮を剥いて1年などある程度の時間をおいてから伐採する行程のことをいう。皮を剥いて木が乾燥することによって木が軽くなり、人や車両で行う運搬が格段に楽になるほか、工場での乾燥過程においてもスピードが増す、非常に効率的な方法。全国各地で広まっているがまだ行われているところは少なく、また、地域によって皮の剥き方に違いがあるそうだ。
<1日目>
早朝出発にもかかわらずGWの大渋滞で到着が遅れ、この日は作業というよりはバスの中や宿での田中優さんの森についてのセミナーが中心。近所の川渡温泉が気持ちいい。夕食はみんなでバーベキュー。ほとんどが知らない人なので交流を深める。普段の皆さんは林業、工務店、介護、学生、医療、大学教授、市議会議員など様々。空は北斗七星をほぼ真上に、満天の星空。
<2日目>
起床時間よりも早く目覚めたので散歩。鳥の声や川の音が気持ちよいのでレコーダーを置いてフィールドレコーディングをした。行きのバスで仲良くなった住職さんによる、読経のモーニングサービスも。
大きな釜で炊いたおいしいご飯を食べて、さっそく皮むき作業へと。まずは山を30分くらい歩き、皮むき作業の場に到着。今までは平らなところが多かったそうだが、今回は急な傾斜なので経験済みの人も大変そう。いくつかの班に分かれ、さらにそのなかでペアに分かれて1本ずつ取りかかる。
根っこの少し上をのこぎりで白い粉で出るくらい、うすく横に切る。そのあとに竹べらで10センチくらいの間隔で、縦にやはり10センチくらいの線を入れる。幹と皮の隙間にその竹べらを固いもので叩いて食い込ませ、めりっとめくる。
そのあとは両手で掴んで木の上の方をめがけ、おりゃーと、めくる。
はじめはなかなかうまくいかない。途中で皮が切れたり、すぐ細くなってしまったり。何度か繰り返すうちにコツが分かってくる。途中の枝が出ている部分では皮が止まってしまうけど、それをなんとかよけて上の方まで。鞭を打つように皮を波立たせながら引っ張るとうまく上まで剥けると、慣れている人に教えてもらう。次第に誰が一番長いかを競いだす。長い人で5メートル以上はあったかな。とにかくつるーんと向けるとこんな感じ。
印象的だったのはやはり皮を剥いたあとのつるつるの幹がとても水分を含んで湿っていること。舐めると少し甘い。そして冷たい! これも驚きだった。めくったばかりの皮の内側に手を入れると、軍手越しでもひんやりと冷気が伝わってくる。
数時間がたち、一通りめくり終えると、皮を上まで運ぶ。ついでにその辺りに生えている小さな木も。いったん宿に帰って昼食(カレー!)。
午後は1年前に皮を剥いた木の伐採作業。雨が少しずつ降り出すなか、また山を登る。この山の雑草を食べてくれている子牛たちに会う。
倒す木は、もともと間伐のための細い木なので、のこぎりを使って伐採できる。まずは倒したい方向の、皮を剥いたすぐ上を水平に4分の1ほど切る。その切った先を目がけ、斜め上45度からも切り、手頃な大きさになった木を抜く。
今度は反対側の、さきほど切った下と斜め45度上の3分の1くらいの高さを水平にある程度切る。そして初めに決めた倒したい方向に倒す。
生木(なまき)は水分を含んで重たいので少し押せば倒れるが、皮を剥いた木は水分が3分の1くらいになっているのでとても軽く、なかなか倒れない。木の揺れに合わせて数人で何度か押すとどしーんと倒れる。軽い地響き。
このとき思ったのが、倒れる瞬間に少しユニークな音がすること。これは僕しか気になっていなかったみたいだ。あとで生木を倒したときも確認したみたのだが、こちらはもっと大きくてまっすぐな、いかにも「どしーん」という音。でも皮を剥いた木は、耳の後ろから鳴っているような、専門的に言うとスピーカーの配線を操作して位相をずらした時のような、そんな音がするのだ。
きっとこれは、失われた水分によって木のなかにある程度の空間ができていて、そこに音が反響していたのだと思う。どしーんだけではなく、どこか「びよーん」とバネを放したときのような、不思議な音。この音も録音すればよかった。
皮むきではない生木は田中優さんがチェーンソーで伐採。手伝う専門の人はまわりにいるけど、機械なので見てると少しハラハラ。重いからすぐに傾いたが、他の木に引っかかりなかなか地面に落ちなかった。そんなこともよくあるそう。
生木は運ぶときも相当重い。3メートルくらいの間隔に切ったものを、皮むきなら二人いれば運べるが(前述したように運びやすく軽量化するのが皮むきの第一の目的)、生木だと男7人がかり。きつそう。
数時間がたち、すべての作業が終わった頃、気がつけば雨はやんで陽が射していた。栗駒木材の大場さんという、この栗駒の山に尽力している人が伝えてくれる(東北訛りで)。「見てください、みんなが木を切ってくれたおかげで森に光が差し込んでいます。残された杉がもっともっと太く元気に伸びてくれます。」
最後は重機で地元の栗駒木材の人が持っていてくれた。翌日は工場でさっそく製材させてもらう予定。いやー疲れたー。温泉が待ってるぞ。
2日目の夜もバーベキュー。間伐ツアーに同行している高森ゆうきくん、大貫妙子さんとのアンプラグドライブ。多いに盛り上がる。大貫さんには急遽お願いしたのだが、快諾してくれたうえに、近年坂本龍一さんと取り組んでいる様々な童謡をアカペラで歌ってくれた。昨晩は早々に寝てしまったのだが、この日は夜中まで歌を歌ったり語りあったり。フォークの時代に戻ったようだ。
<3日目>
栗駒木材の工場見学。栗駒木材は40年続くなかで7年前に、循環型社会に貢献できる会社になろうと大転換を果たした会社。さらに冷暖房にも強い木に加工するため、昔ながらの燻煙技術を駆使して木を痛めつけないように低温で乾燥させたり、健康を害するホルムアルデヒドの原因となる合成接着剤を使わずに、米のりを使用したりと、その工夫は様々。
そして取引先の製紙工場が地震の被害を受けて操業をストップし、収入が落ち込んでしまったにも関わらず、被災地・避難所への物資輸送、ペレットストーブの提供など、震災直後から支援を惜しみなくしてきた立派な会社でもある(でも資金が追いつかないらしく、栗駒木材を救済する「くりこま募金」というのもあります)。
まずはグループに分かれて広い工場の隅々を見学。
多くは製材して家などの構造材に使用。木の家はCO2を固定化して保存できたり、伸縮して温度を調節してくれる。構造材に使えないものはチップとして紙の原料に。全国の新聞紙の一部になっているらしい。
ビニールハウスに敷き詰められたおがくず。
そのおがくずを高額な機材(真ん中の黄緑とその上の部分)を使って木質ペレットに。前述したペレットストーブや、工場内の燻煙乾燥用の燃料として使用。燃焼時のCO2は木々が生長する際に吸収したCO2と同量なので環境に優しい。ちなみに木質ペレットはバイオマス発電としても使われる。
ほかにもたくさん見て回ったあと、最後に昨日伐採した皮むき間伐の杉の木を製材加工してくれた。含水率は(測定箇所によっても異なるが)生木が120%を越えるのに対し、皮むき材は60%。さらに低温の燻煙乾燥後は30%以下になる。すでに前述したように、含水率が低いほど乾燥にかかる時間が少なくてすむ。
たっぷり見学したあとに、ミュージシャン陣と田中優さんは地元木材の板にサインをさせてもらい、バスで東京へ。帰りもいろいろと情報交換が出来て良かった。このツアーの模様は主催した天然住宅バンクのサイトでも(大貫さん、高森くんとのライブの画像もありますよ)。ただいま「仮設じゃない復興住宅」のプロジェクトなどを行っています。
いわゆるエコツアーだが、泊まりがけで遠方へというのは僕は初めてだ。場所は宮城、岩手、秋田三県にまたがる栗駒山。被災地も近いためか、参加した方のなかには途中から支援のために現地へ向かう方や、そこから戻ってきて参加した方も多かった。
森を正しく管理するためには、木を元気よく育てるために木の間引き、つまり間伐をすることが大切である。皮むき間伐といういうのはただ単に若い木を切り倒すのではなく、まず木の皮を剥いて1年などある程度の時間をおいてから伐採する行程のことをいう。皮を剥いて木が乾燥することによって木が軽くなり、人や車両で行う運搬が格段に楽になるほか、工場での乾燥過程においてもスピードが増す、非常に効率的な方法。全国各地で広まっているがまだ行われているところは少なく、また、地域によって皮の剥き方に違いがあるそうだ。
<1日目>
早朝出発にもかかわらずGWの大渋滞で到着が遅れ、この日は作業というよりはバスの中や宿での田中優さんの森についてのセミナーが中心。近所の川渡温泉が気持ちいい。夕食はみんなでバーベキュー。ほとんどが知らない人なので交流を深める。普段の皆さんは林業、工務店、介護、学生、医療、大学教授、市議会議員など様々。空は北斗七星をほぼ真上に、満天の星空。
<2日目>
起床時間よりも早く目覚めたので散歩。鳥の声や川の音が気持ちよいのでレコーダーを置いてフィールドレコーディングをした。行きのバスで仲良くなった住職さんによる、読経のモーニングサービスも。
大きな釜で炊いたおいしいご飯を食べて、さっそく皮むき作業へと。まずは山を30分くらい歩き、皮むき作業の場に到着。今までは平らなところが多かったそうだが、今回は急な傾斜なので経験済みの人も大変そう。いくつかの班に分かれ、さらにそのなかでペアに分かれて1本ずつ取りかかる。
根っこの少し上をのこぎりで白い粉で出るくらい、うすく横に切る。そのあとに竹べらで10センチくらいの間隔で、縦にやはり10センチくらいの線を入れる。幹と皮の隙間にその竹べらを固いもので叩いて食い込ませ、めりっとめくる。
そのあとは両手で掴んで木の上の方をめがけ、おりゃーと、めくる。
はじめはなかなかうまくいかない。途中で皮が切れたり、すぐ細くなってしまったり。何度か繰り返すうちにコツが分かってくる。途中の枝が出ている部分では皮が止まってしまうけど、それをなんとかよけて上の方まで。鞭を打つように皮を波立たせながら引っ張るとうまく上まで剥けると、慣れている人に教えてもらう。次第に誰が一番長いかを競いだす。長い人で5メートル以上はあったかな。とにかくつるーんと向けるとこんな感じ。
印象的だったのはやはり皮を剥いたあとのつるつるの幹がとても水分を含んで湿っていること。舐めると少し甘い。そして冷たい! これも驚きだった。めくったばかりの皮の内側に手を入れると、軍手越しでもひんやりと冷気が伝わってくる。
数時間がたち、一通りめくり終えると、皮を上まで運ぶ。ついでにその辺りに生えている小さな木も。いったん宿に帰って昼食(カレー!)。
午後は1年前に皮を剥いた木の伐採作業。雨が少しずつ降り出すなか、また山を登る。この山の雑草を食べてくれている子牛たちに会う。
倒す木は、もともと間伐のための細い木なので、のこぎりを使って伐採できる。まずは倒したい方向の、皮を剥いたすぐ上を水平に4分の1ほど切る。その切った先を目がけ、斜め上45度からも切り、手頃な大きさになった木を抜く。
今度は反対側の、さきほど切った下と斜め45度上の3分の1くらいの高さを水平にある程度切る。そして初めに決めた倒したい方向に倒す。
生木(なまき)は水分を含んで重たいので少し押せば倒れるが、皮を剥いた木は水分が3分の1くらいになっているのでとても軽く、なかなか倒れない。木の揺れに合わせて数人で何度か押すとどしーんと倒れる。軽い地響き。
このとき思ったのが、倒れる瞬間に少しユニークな音がすること。これは僕しか気になっていなかったみたいだ。あとで生木を倒したときも確認したみたのだが、こちらはもっと大きくてまっすぐな、いかにも「どしーん」という音。でも皮を剥いた木は、耳の後ろから鳴っているような、専門的に言うとスピーカーの配線を操作して位相をずらした時のような、そんな音がするのだ。
きっとこれは、失われた水分によって木のなかにある程度の空間ができていて、そこに音が反響していたのだと思う。どしーんだけではなく、どこか「びよーん」とバネを放したときのような、不思議な音。この音も録音すればよかった。
皮むきではない生木は田中優さんがチェーンソーで伐採。手伝う専門の人はまわりにいるけど、機械なので見てると少しハラハラ。重いからすぐに傾いたが、他の木に引っかかりなかなか地面に落ちなかった。そんなこともよくあるそう。
生木は運ぶときも相当重い。3メートルくらいの間隔に切ったものを、皮むきなら二人いれば運べるが(前述したように運びやすく軽量化するのが皮むきの第一の目的)、生木だと男7人がかり。きつそう。
数時間がたち、すべての作業が終わった頃、気がつけば雨はやんで陽が射していた。栗駒木材の大場さんという、この栗駒の山に尽力している人が伝えてくれる(東北訛りで)。「見てください、みんなが木を切ってくれたおかげで森に光が差し込んでいます。残された杉がもっともっと太く元気に伸びてくれます。」
最後は重機で地元の栗駒木材の人が持っていてくれた。翌日は工場でさっそく製材させてもらう予定。いやー疲れたー。温泉が待ってるぞ。
2日目の夜もバーベキュー。間伐ツアーに同行している高森ゆうきくん、大貫妙子さんとのアンプラグドライブ。多いに盛り上がる。大貫さんには急遽お願いしたのだが、快諾してくれたうえに、近年坂本龍一さんと取り組んでいる様々な童謡をアカペラで歌ってくれた。昨晩は早々に寝てしまったのだが、この日は夜中まで歌を歌ったり語りあったり。フォークの時代に戻ったようだ。
<3日目>
栗駒木材の工場見学。栗駒木材は40年続くなかで7年前に、循環型社会に貢献できる会社になろうと大転換を果たした会社。さらに冷暖房にも強い木に加工するため、昔ながらの燻煙技術を駆使して木を痛めつけないように低温で乾燥させたり、健康を害するホルムアルデヒドの原因となる合成接着剤を使わずに、米のりを使用したりと、その工夫は様々。
そして取引先の製紙工場が地震の被害を受けて操業をストップし、収入が落ち込んでしまったにも関わらず、被災地・避難所への物資輸送、ペレットストーブの提供など、震災直後から支援を惜しみなくしてきた立派な会社でもある(でも資金が追いつかないらしく、栗駒木材を救済する「くりこま募金」というのもあります)。
まずはグループに分かれて広い工場の隅々を見学。
多くは製材して家などの構造材に使用。木の家はCO2を固定化して保存できたり、伸縮して温度を調節してくれる。構造材に使えないものはチップとして紙の原料に。全国の新聞紙の一部になっているらしい。
ビニールハウスに敷き詰められたおがくず。
そのおがくずを高額な機材(真ん中の黄緑とその上の部分)を使って木質ペレットに。前述したペレットストーブや、工場内の燻煙乾燥用の燃料として使用。燃焼時のCO2は木々が生長する際に吸収したCO2と同量なので環境に優しい。ちなみに木質ペレットはバイオマス発電としても使われる。
ほかにもたくさん見て回ったあと、最後に昨日伐採した皮むき間伐の杉の木を製材加工してくれた。含水率は(測定箇所によっても異なるが)生木が120%を越えるのに対し、皮むき材は60%。さらに低温の燻煙乾燥後は30%以下になる。すでに前述したように、含水率が低いほど乾燥にかかる時間が少なくてすむ。
たっぷり見学したあとに、ミュージシャン陣と田中優さんは地元木材の板にサインをさせてもらい、バスで東京へ。帰りもいろいろと情報交換が出来て良かった。このツアーの模様は主催した天然住宅バンクのサイトでも(大貫さん、高森くんとのライブの画像もありますよ)。ただいま「仮設じゃない復興住宅」のプロジェクトなどを行っています。
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