10.7.20
去る7/10、今夏の「きこえる・シンポジウム」は、ガイドの坂田昌子さん(虔十の会)とまわる高尾山エコハイク。申し込んでくれた皆さん24名、スタッフを含めると30名余りで午前10時に出発!

連日の梅雨空だったのが、この日はびっくりするくらいに回復して晴天。坂田さんが当初「雨上がりがいちばん気持ちいい」と言っていたのを思い出す。天然のミストの涼しさや、湿った土の香りがたまらない。
高尾山は、1300種にも及ぶ植生が豊富な山。その数はなんとイギリス一国ぶんに相当するという。それらの植物を求めて集まってくる虫はさらに5000種。東京都にありながら、日本でいちばん生物多様性の豊かな山と言われている。
6号路を選んで登山をし始めると、高い木の幹や岩に苔がびっしりと張り付いているのが目につく。個人的には、昨年夏に行った屋久島がすぐよぎった。高尾山にも何度か登っているけれど、全然気がつかなかったな。よく観察してみれば南の島に少しも劣らない環境に驚く。
海で言えば、潮目の混合水域。街で言えばニューヨーク。隣り合う木々の種類が違うのだ。林試(林業試験場)の森のような雰囲気もある。

苔むした岩の上をアメンボのような細長い足のザトウムシが横切っていく。それを黙って見守るのはカタツムリ。苔の説明をしてくれる坂田さん。

ときおり立ち止まっては、みんなを集めて解説してくれる。「高尾山は地面が隆起してできた山なので、地層が地面と平行ではなく、縦になっていたりしているのが、岩の模様を見ると分かる。その縦の断層に沿って、『水の道』がたくさん出来ていて、高尾山は水の宝庫」「地下水は15年前の雨、それが山のなかをくぐって、植物たちに水を与える」「キノコは森の掃除屋さん、年老いた木から養分を吸い取って土に返す」「夜は猫が座布団を掴んだようなムササビが飛んでくる、モモンガは似てるけど少し小さい(あの巣からムササビが顔だけ出して寝てた)」「たくさん生えているシャガという大きな草は根っこが浅く、緑のネットを張って水を浄化している」「ウグイスは毎年、鳴き声を忘れる」などなど。

川の傍で両耳に手をこんな風に、後ろに向かって広げて当てると、川の音や木のざわめきが何倍にも大きく聞こえる。森は想像以上にいろんな音を立てている。

13時半に頂上でみんなでお弁当。そして後半は、地元の人しかほぼ知らないマニアックな裏高尾へ。行きと違い、空いている道をみんなでゆっくりと下山。下りはバネのようにして歩けば膝に負担がないよ~、とのこと。ちなみに登りで疲れてきたら、上げた足と反対の骨盤を開くようにすると楽。

17時近くにツリーハウスに到着! これは日本のツリーハウス作家ではいちばん有名な小林崇さんのアドバイスのもと、坂田さんやそのまわりの人たちが1年がかりで作ったとのこと。渡良瀬エコビレッジに行った時も小林さんの作品があったなぁ。あの「祝島」のびわ茶とおからドーナツで休憩して、生音ライブ。

道中、坂田さんが何度も教えてくれたのは、圏央道のトンネル工事のこと。横浜方面から徐々に掘られてはいるが、大量の地下水をミルクセメントで止めながら進むという、海底トンネルと同じ工法で工事は進められ、そのせいで1m2~7000万円ものお金かかっているとのこと(総額5兆円)。そのうち6号路で横切った「びわ滝」の水も枯れると言われている。政権交代の際に取り沙汰された八ツ場ダムのように、一転して中止になる可能性もあるし、迂回する代替案もある。でもそれには、地元の人や、署名したり反対運動をするひとりひとりの行動にもかかっている。興味がある人は、虔十の会のホームページを見てみてください。

最後には今年の秋、名古屋で行われる生物多様性COP10の話にもなった。7分に1つずつ消えて行く絶滅種。生物多様性の定義の3つ目にもあるように、ある種が生き残るためにある種を根絶やしにしてもいいという法則は原則的にありえない。それは同じ種別でも同じだ。この山のバッタがいなくなっても、ほかの山にバッタがいるから大丈夫、ということは言えないのだ。東京の人口だけいなくなってもほかにも人間がうじゃうじゃいるから大丈夫、なんてこともないように。
今では「アバター」をはじめ、そういったテーマを秘めた映画も数多くあるが、昨日たまたま「借りぐらしのアリエッティ」を見た。この高尾山ハイクの続きを見たような気がして、何度もドキリとさせられたのだ。
*みなさんも生物多様性「じぶん条約」を宣言してみましょう。詳しくはこちらをクリック。