REPORT

「きこえる・シンポジウム 2013 夏 in senkiya」にお越しいただいた皆さん、ありがとうございました。ちょうど梅雨明けの7/6、晴天にめぐまれた一日の模様をお届けします。来れなかった皆さんも、ぜひこのページでその場の雰囲気を楽しんでもらえたらと思います。

text:HARCO photo:秋本 翼(budori)

埼玉県川口市にあるカフェ「senkiya」。僕らはまだライブのリハーサルを行っていましたが、午前のうちから続々とお客さんが集まってきます。いや〜、今日は暑くなりそう。senkiyaの敷地のなかにはカフェ以外にもいろんなお店があるのですが、いちばん出来立ての小屋で、1回目のワークショップがスタート!(このスペースでは、Quinkaがこの日のために作った音楽が流れていました。)

注文家具のお仕事などをしているミナトファニチャーの湊さんは、木琴づくりのワークショップを行ってくれました。土台はスギ、鍵盤はヒノキで出来ていて、どちらもなんと、ここ埼玉県の間伐材を探して材料をそろえてくれたそうです。皆さん、ネジとドライバーでひとつひとつ組み立てていきます。机と椅子がきれいに並んでいて、まるで小さな学校のよう。

同じように家具や、アンティーク仕立ての木工作品も多数制作しているPostman ForetのKiKiさんは、カスタネットのワークショップを。あらかじめ用意してくれたカスタネットの素材に色を塗るのが主な工程でした。小さなお子さんも多かったですね。休み時間にひとつひとつドライヤーで乾かしてくれるKiKiさん、休む暇がなさそうです(笑)。

スプーン作りワークショップは、東京の山の木でさまざまなプロダクトを作るKINOさんと、国産漆仕上げの個性的な木のスプーンを作る宮薗スプーンさんが共同で担当。四角い木をカッターで削っていくんですが、これが結構時間がかかるんです。この日は合わせて3回のワークショップがあったのですが、スプーンだけは人がなかなか入れ替わらずに、どんどん増えていきました。まるで膨張する宇宙のよう!終わった方はその場で蜜蝋を塗って完成、家での宿題になった方はどんな仕上がりになったでしょうか。

senkiyaの2階では、7/2から「きこえる展覧会」を開催していました。湊さん、KiKiさん、宮薗さんは、普段のお仕事である木工作品の数々を展示してくれました。KINOさんも自身のプロダクトを展示。小さな木の美術館は見応えたっぷりです。今回はとくに販売は行わなかったのですが、それぞれのホームページではいろいろなオーダーを受け付けていますので、ぜひ遊びに行ってみてほしいです。

そして僕は、KINOさんと共に東京多摩産の小径木のヒノキで作ったスピーカーを、展覧会会場を丸く囲むように設置しました。小径木とは直径14センチ以内の細い木のことを指すのですが、普段は製材されず山に放置されることが多いのだそうです。出来立ての8個のヒノキスピーカーを使って、木で鳴らした音がいろんな速さで会場内をぐるぐる回ったり、木琴の軽やかな音があちこちを飛び交ったりという、サウンドインスタレーションを行いました。

1階のカフェはゆっくり休めるスペース。senkiyaさんのドリンクやケーキのほかに、Gomaの中村亮子さんは「植樹」ができるお菓子を販売してくれました。マフィンを土、クッキーを木に見立てて、それぞれ春夏秋冬の違った味わいが楽しめます。

さらに東京・合羽橋でitonowaというカフェを営む渋谷さんが、竹で編んだ箱に間伐材の割り箸を添えて出してくれたお弁当も大人気でした。素敵な風呂敷も含めてすべてお持ち帰りOK。FOOD担当のおふたりもこうやって、「木」のテーマに沿ってアイデアを練ってくれたのが嬉しかったです。

リトルプレスを発行している「オチャノマート」さんは、「木で作る」という最新号を携えて急遽参加してくれました。こういう出会いも嬉しいですね。

16時をまわって少し涼しくなってきたあたりから、ビューティフルハミングバードのライブがスタート。以前から一緒にライブをしたり、僕のレコーディングに参加してもらったこともあるのですが、この日はかなり久しぶりの共演になりました。

こうして野外で音楽を楽しんでくれているみなさん、気持ち良さそうです。senkiyaの雰囲気とふたりの音楽もぴったりマッチしていましたね。まるで庭に置いてある巣箱から鳥が次々と飛んでいくように、小池光子さんの歌が空に向かって伸びていきます。

そうそう、今回はスタンプラリー用に、6つの巣箱を設置していたのです。しかもワークショップの3チームと僕たちHARQUAは、この日のために自分たちで巣箱を作りました。その巣箱に差し込んである作家さんの紹介ちらしや「HARQUAラジオ」を聴いてスタンプを集めていくと、僕やQuinkaの作ったインスタレーションCD(しかも湊さん制作による特製木箱入り!)が当たるのです。(当選された方、おめでとうございます。)

17時すぎからはトークです。左からKiKiさん、宮薗スプーンさん、湊さん、KINOの松本さん、HARCO、Quinka、senkiyaオーナー高橋さん、近所の植木屋さん「田中植木」のきみちゃんさん、総勢8名!僕らミュージシャンのふたり以外は、皆さん「木」にまつわるお仕事をなさっている方々です。

*トークの模様は、僕が環境gooで連載している「フィールドスケッチ・シェアリング」でお伝えしていきますので、ぜひそちらでお楽しみください。8月更新の2つの回で掲載予定です。

最後は僕らHARQUAのライブ。まずはQuinka,with a Yawnがギターのフタキダイスケくんと二人でQuinkaの曲を。ニューアルバム「さよならトリステス」からまったりと。次に僕がHARCOとして、マリンバのシーナアキコさんと一緒に木琴&ピアノのアンサンブルでお届けしました。マリンバを連弾しながら、現在テレビ東京系の「しまじろうのわお!」という番組のオープニングになっている「しまじろうと いこうよ」という曲も歌いましたよ。さらに後半は、この4人編成でのライブ。半年ごとのこのイベントでは、必ずHARQUAとしての新曲をひとつ発表しているのですが、この日は「私だけの木とツバメの手紙」という曲を歌いました。

さて、ここからはお客さんにも、実際に自分で作った楽器で演奏に参加してもらいたいと思います。木琴ワークショップに参加した人は木琴を、カスタネットを作った人はカスタネット、スプーンを作った人は歌で参加してもらいましょう。もちろんそれ以外の人も手拍子や歌でぜひ!

曲の中で僕やQuinkaが合図を出して、自分の番が来たら演奏に参加してもらって、最後の方はみんな合わせて合奏。うわ、楽しすぎる。「センキヤ!」とみんなで繰り返し叫ぶシーンも(僕が仕向けてしまったせいですが)。senkiya高橋さんの、ひとり「センキヤ」コールは爆笑ものでした。

アンコールではビューティフルハミングバードも加わって6人で、照明もPAも消して電気を使わない環境のなかで、「キャンドルナイト」という曲を。「きこえる・シンポジウム」の最後に、こうやってこの曲を歌うのが恒例になってきているのですが、もともとは僕のシングルのカップリング曲として、ビューティフルハミングバードのふたりと一緒に2006年にレコーディングした1曲。再びそのときと同じメンバーで歌えたことは、感慨深いです。

そうして、街のノイズと僕らの小さな歌が、暮れかかる夏の空の下で溶け合いました。senkiyaのあるこの地域は「安行(あんぎょう)」と呼ばれていて、江戸時代から植木屋さんが多いことで有名なのだそうです。都心からそう遠くない場所ですが、植木屋さんの植えた「木」がたくさん生きている街です。ここに集まってくださった皆さんと一緒に、木に触れて、木で演奏して、アートや音楽を共有できたことは、忘れられない思い出になりました。皆さんもそう感じていてくれていたら、嬉しいです。

追記 その夜のうちに急いで片付けたあとの打ち上げの様子です。たくさんのスタッフの皆さんとともに、大いに盛り上がりました。湊さんの予備の木琴がひとつ、じゃんけんで当たることになり、なんとビューティフルハミングバードの小池さんが当てました。本人のtwitterによると、翌日、無事に自宅で完成させた模様です。どこかで使ってもらえることを祈ります。