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ライナーノーツ
プリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンは、2作目の『スティーヴ・マックイーン』(85年)で、ソングライターとしての才能を大きく開花させた。本人に聞いたところによると、初期のパディは「ありきたりな曲を書いてはいけない」という想いに強く囚われていて、複雑なコードや転調を多用したソングライティングを行なっていたという。それが、「よい判りやすい曲を書く」という意識に変わった時、パディの楽曲がよりロマンティックな色彩感に包まれるようになる。その後の彼の活躍は、多くの方がご存知の通りだ。
昨年出されたHARCOの『Night Hike』を聴いて僕が思い浮かべたのは、まさにそのパディ・マクアルーンのことだった。HARCOのミニ・アルバム3部作の第2弾にあたる『Night Hike』は、楽曲至上主義に目覚めたようなHARCOの姿を伝える傑作。どの曲のメロディーもよく練られている上、耳にする度にときめきが増していくような奥行きの深さも備えている。僕などは、気がつけば頭の中で「Night Hike」や「春、間近」が鳴っている日々をずっと過ごしたりもした。
今回の『Wish List』も、そういうHARCOの好調ぶりを伝えるアルバムだ。自ら2曲でホーン・アレンジを手掛けたり、久しぶりにマリンバを叩いてみたりと、HARCOのマルチな才能はたっぷり表われている。しかし、それ以上に耳にこびりつくのはロマンティシズムに富んだ彼のソングライティングで、前作の『Night Hike』でつかんだ手応えが『Wish List』にもしっかり持ち込まれているのがよく理解できる。もちろん、この間に出されたマキシ・シングル「世界でいちばん頑張っている君に」の大反響も、HARCOにとって大きな自信となったに違いない。
個人的には、今回の白眉は、ラストに収められている「愛を誓おう」だと思っている。青木美智子(Quinka,with a yawn)とのデュエットによる、シンプルかつ雄弁なラヴ・ソング。いずれにしても、『Wish List』は、HARCOの才能がいよいよ大きくはばたいたことを伝える、ミニ・アルバム3部作の見事な完結編だ。
宮子和眞
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