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セルフライナーノーツ

椅子 ジャズは聴くものだと思っていた。まだドラマーだった高校生の頃に、ブルーノート東京でマックス・ローチを見ながら大口を開けていたときも、 MySpaceページを立ち上げてステイシー・ケント宛にフレンドリクエストを送ったときも、エレクトリック・マイルスを聴きながら食器を洗っていた昨日 も。あくまでも趣味として、ジャズのピアノを弾きながら、アドリブのソロが自在に弾けるようになりますようにと願っていた。流れ星にではなくて、流れては 消えていく地上の時間のなかで。

 踏み込んだらもう、純粋に楽しめなくなってしまうかもしれない。自分が下手な絵を描き始めたら、美術館に行くのが少し辛くなるように。でも本 当に好きなものがあって、道具(楽器)までそろっているのなら、やっぱり手を出さない方がおかしい。苦みばしったコーヒーは自分でいれるのがいちばん美味 しいし、飽きのこないシャツをずっと着たくなったら自然とリペアし始める。

 そんな経緯でジャズを意識したアルバムを作ることした。こんな幼な声でも大丈夫と教えてくれたのはボブ・ドロー。昨年亡くなったケニー・ラン キンのポップス/ジャズのバランス感覚も見習いたかった。それでもご安心を。レコードの溝にすぐはさまってしまいそうな不器用さは我ながら健在。いつもの 歌をスポンジに染み込ませて、100年ものの大皿をいざ、洗うのだ。ゴシゴシ、、、。



01 Lamp&Stool
ジャジー且つアーバンな(と自分では思い込んでいる)4ビートシャッフルのリズムで前から歌ってみたかった。アンティーク関連の雑誌をめくりながら、人が消えたあとにも残る「もの」についてなど、いろいろと考えた。
02 Two Tone
去年の初秋、茅ヶ崎でライブをしたあとに一人でぶらりと立ち寄った砂浜。昼から夜に変わる瞬間の2色の空と、サーファー達と、ワインを持ち込む地元の人たちの姿が印象的だった。つまりこの曲はノンフィクション。
03 暮らしのアイデア
昨年末のシンポジウムに参加してくれた作家の廣瀬裕子さんの、柔らかくてシンプルな本に触れて、ふと自分の生活をありのままに書いてみたいと思った。ブログのような詩を。ギター・おおはた雄一くん、コーラス・イノトモさん。
04 Twittin' Roll
家の窓から鳥たちのさえずりを聞くのが楽しい。鳥はお互いの鳴き声を真似たりしながら進化するなかで、あまり多くの言語を開発してこなかったようだ。そのシンプルなつぶやきの様子を鳥の擬声語で、贅沢にもカジくんと。
05 Lucky Stone
今までは封印していたのだが、たまにはこういう可愛らしいスイングを歌ってもいいかなと。僕なりの90年代回帰でもある。この曲を始め、石島さんのフルートが今回は多数登場。久しぶりにひとり多重コーラスでプチミュージカルの趣き。
06 いつも心にハンドブックを
スモールイズビューティフルを提唱するサティシュ・クマールさんの本や、動物行動学の日高敏隆さんの本を読んでいて、あらゆる生き物の鼓動を身近に感じられる気になって、こんな曲が生まれた。この歌のなかで開く傘は、やはりボタン式の「バッ」となるタイプ。最多の8曲参加、石本くんの全編に及ぶリフが冴え渡る。
07 夜の海とアンクレット
ハムレットを読んでいたら、巨人や魔女や兵士の亡霊などが登場する歌が書きたくなった。夜の稜線を見つめるのが昔から好きで、いつもそこを跨ぐ巨人が浮かんできた。Two Toneと共に、ミチルカの和津実ちゃんによるソウルフルなコーラス。
08 ハミングライフ
GOING UNDER GROUNDのドラマー・ジョー君とまわった春の全国ツアーの、結果を残す意味でも。彼の作詞作曲で、同バンドの代表曲のひとつでもある。ジョー君によるドラム、バイオリン、コーラスを加え、スイングジャズにリアレンジ。
09 思いの丈
曲作りの最後のあたりで、急にピアノロックが書きたくなってきた。でもコードワークは難解に。泣きのメロディの効果もあり、スッキリした気持ちのよいトラックに。いろんな細かいフラストレーションをこの曲のプレイの節々でぶちまけた。それこそ、思いの丈を。
10 怒れる太陽
サンバ調のドラムや、インアウトを繰り返すピアノソロ&軽いマリンバソロなど、自分でいろいろと試してみた。高井さんのウッドベースで芯を保ってくれているからこそ。カヲルという4人の女性コーラスが華やか。他2曲でも歌ってくれた。
11 No Gravity
登山が少しだけ好きになってから山に関する詩をいくつ書いただろう。串田孫一さんの詩を読んで、自然への心得をひとりごちてみたり。転落事故の悼ましいニュースが続いた頃、部屋に架空の焚き火を燃やして書いた。
12 Be nice to me
トッド・ラングレンのカバー。好きな曲が多いので迷うのだが、朝日美穂さんのイベントでこの曲をセッションして、いいなと思った。さすが、コードワークが面白い。宅録でどんなに対抗しても本家には叶わないので、あえてシンプルなアレンジでに朝日美穂さんのコーラス、マッキンのベースなどをプラス。アルバムは優しく幕を閉じる。



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