■ 02:HARCOによるアルバム「KI・CO・E・RU?」 セルフライナーノーツ



1. ホームタウン
初めて同窓会というものにちょっとだけ顔を出した。昔とまったく変わっていない、同級生たちの気さくな表情。どうやらこの僕がいちばん変わっていないらしい。 次の日、この曲の書きかけの詞が、最後までスルッと書けた。ギターやバンジョーは元「one tone」、現「三匹」の原口友也くん。独創的なアレンジをたくさん施してくれた。 マリンバは僕の師匠的存在、大橋エリちゃん。 サックスは曽我部恵一バンドなどで活躍する加藤雄一郎さん。




2. 地平線の向こう
地平線を越えて新しい街へツアーに出かけるときは、実際に自分がそこに住んでいて、 ちょっと近所に寄ったつもり、という状況をたまにイメージしてみたりする。そうするとものの考え方も少し変わる。自分を照らす太陽も意味合いが違ってくる。 東京とは違う「もうひとつの太陽」という、つかの間のピンスポットライトを浴びながら、このままどこへ行こうかと考える。川嶋可能さんアレンジのストリングスが、旅立つ日の澄み切った空のよう。




3. 響き合うぼくらの呼び声
最近はiPodなどの新しいポータブルプレーヤーの普及によって、イヤフォンを付けている人がまた目立ってきた。(余談だけど、コンビ二のレジの前でも付けている人を見かけると、少しくらいはずせばいいのにと思う。)
イヤフォンをはずした瞬間、音楽にかわって街の音が一気になだれこんでくる。その音は聞き慣れていても新鮮だろう、その瞬間に好きな人の声が聞こえたら、いつもよりもっと強く響くだろう、そんな想像をしながら書いた。全体のリズムや最後のリフレインはadvantege Lucyの二人の案によるもの。




4. バルコニーファーマー
農家の方に誘っていただいて、畑のまんなかでバーベキューをした。勢い余って歌も歌ったり。そのときに、自然からの見えないやさしさを強く感じた。たとえばマンションのベランダにとても小さな畑があって、そこで土に触れたら気持ちが落ち着いたり、道行く人がその野菜や花を見上げたら、思いがけない気持ちで胸がいっぱいになったり。そんな普段の生活レベルで、やさしさを分け合えたらいいなぁ、と思って。我が家の庭も含めた、すべての家庭菜園に対するささやかなオマージュでもあり。
伊藤ゴロー(naomi&goro、moose hill)さんとの共同アレンジ。ラストのリフレインのところは、そのとき畑で一緒にバーベキューをした子供たちにもう一度集まって歌ってもらった。




5. 文房具の音
以前からライブで行っていた「文房グルーヴ」。それはお客さんの目の前でおもむろにセロテープやホッチキス、クリップ入れなどの文房具を取り出し、使うときに出る音を足で踏むサンプラーを使ってその場でループさせて、リズムを作り出すというもの。そのうえにピアノを弾きながら歌を歌う。それを別の曲でやっていたのだけど、このためだけの曲をちゃんと作りたかった。SAKE ROCKハマケンのトロンボーンも加わって、小粋なラグタイム調の仕上がりに。




6. きこえる
遠く離れてしまったり、命を失ってしまったり。ずっと身近に感じていた人への手紙は、宛先になんて書けばいい。それでも何か、文字をしたためてみよう。想いが届くかもしれない。
今回のアルバムのうちの4曲は、HARCOライブサポートメンバーのリズム隊(ドラム:笹井享介、ベース:須藤俊明)によるもの。さらにこの曲では、久々にギター:松江潤くんを迎えた。柔らかい歌ばかりでも飽きてしまうかなと思って、アレンジの参考にdbClifordを聴き込んだりした。




7. 神様の両手
世界を見渡せばまだまだ限りなく続きそうな紛争やテロの数々。例えばインターネットのgoogleマップでどれだけ戦地へ近づけても、そこにいる小さな子供や巻き込まれた同胞を救い出すことはできない。ニュースを探る僕らの両手と、この星を抱える神様の両手は、ただ見守ることしか出来ないという意味ではまったく同等かもしれないし、この手で動かそうとするものがこの星に存在しているという意味でも同じなんだと思う。川嶋可能さんとの共同アレンジ。お互いのパソコンでデータを行き来させて作った。




8. 夏のヒーロー
YUKIさんに提供した楽曲のセルフカバー。歌詞を一部、男の子目線に変えさせてもらった。するとどうだろう、時期的にもヒーローはあのハンカチ王子斉藤祐樹くん(オリジナルは2006年夏に発売)かと仮定していたのだけど、僕の中でいつのまにかビーチバレーの浅尾美和ちゃんに変わってしまっていた。伊藤ゴローさんの手によって、夕暮れが胸に迫ってくるような、大人のアレンジに。




9. 水中バギー
これはいちばん古い曲で、出来たのは8年くらい前。スタッフの評判も高く、ついに世に出すことに。実は「水中バギー」とはドラえもんの映画に登場するキャラクターで、性格はわがままなんだけど、最後には自分の身を犠牲にしてのび太くんたちを助けてくれる。現実の世界でも、子供たちは「たとえ自分が無力でも、どうにかしてこの地球や大好きな人を守りたい」と、無意識に感じているはず。神森徹也くんとfishing with johnの力を借りて、フォークトロニカ的ポップスに仕立ててもらった。




10. MY JOURNEY
2007年のはじめに出たベスト盤のタイトルがPICNICS。そこでは最初の10年を、あえて小旅行だったと言い切ってしまったので、次の10年は視野を広げて、グレートジャーニーだったと言ってみたい。ポンと背中を押されて生まれてここまで来たけれど、この旅のなかで出会えた人には何度でも再び出会って、そこまでの距離を分かち合っていきたい。ギターやシンセプログラミングに、以前からたびたび参加してもらっている林英和くんに協力してもらった。




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